「なぁ、なんであいつを拾ってきたんだ?」 それは数年前からクロロが何度もきかれた質問。 クロロの答えることはいつも同じだった。 「惚れたから。」 (……………) うっとりとした目に皆、その時は弱冠引いていた。 しかし時が経つにつれてクロロのいった意味がわかってきた。 はかわいい。 初めて会ったときもかわいかったが、 成長するごとにさらにかわいさを増している。 が笑うごとに不覚にもときめく者数名。つられて笑う者数名。 皆、間違いなくに惹かれていた。 最近は子供にそんな感情を抱いて良いのか、 なんて疑問もほぼ消え去っている。 いや、むしろこれでいいのだ。 自分の気持ちに正直に生きよう。 俺たち、ボクたち、私たち、みんなあなたが大好きです。 「v」 「なぁに。」 声をかけたのはフィンクス。 は振り向いたあとに背丈と体勢の都合上、上の方を見た。 上目使いがすんごくかわいい。 フィンクスは胸が軽く打たれるのを感じた。 「ちょっとこっちこい。」 「うん。」 はとことことフィンクスへ連れられていった。 そんな2人を見て目がギランと光るもの数名…フィンクス危うし。 しかし、そんなことは露知らず、フィンクスは少し歩いたあとに、 ちょうどいい空きスペースを見つけてそこに座った。 そしてを後ろから抱え上げ、自分のひざの上に置いた。 「?」 は、なぜこんなことをされているのかはわからなかったが、 別に嫌なことではなかったので特に抵抗せずにいた。 「あ〜、やっぱ気持ち良いぜ〜。」 フィンクスはの細い身体に腕をまわして、 その柔らかな髪に顔をうずめていた。 は少しくすぐったいと思いながらも、足をブラブラさせるだけだった。 花のような甘い香りが鼻をくすぐり、 ほんのりとしたあたたかさがフィンクスを至福の空間へと導く。 まさに天国、夢のようなひととき。 しかし、幸せにひたっていたその瞬間、他者の攻撃は来襲した。 パコーン! フィンクスの脳内に響く大きな音と激しい痛み。 一冊の本(by団長)がフィンクスの頭にクリティカルヒット! 突然の出来事に、フィンクスは後ろにつんのめりになって倒れた。 「いってぇ…。」 少しの間、痛みで動けなかったが、頭を押さえながらやっと身体を起こす。 するとまた、今度は次々にいろいろなものが飛んできた。 それは全てフィンクスにのみ命中し、フィンクスは再び同じように倒れてしまった。 その間、まったくの無傷だったは呆然とその近くで立っていた。 やがて倒れているフィンクスに気を向ける。 「どうしたの?」と声をかけようとした。 しかしそのとき、シャルナーク達にトランプに誘われた。 すっかり気がそちらにそれてしまったは フィンクスをほったらかしたまま、シャルナーク達の方へ行ってしまった。 のそのときの返事はとても輝いたものだった。 後に残されたフィンクスには倒れたままにもかかわらず、 誰も心配する者はいなく、しかも冷たい言葉が降っていた。 「になにするね。」 「セクハラするんじゃねぇよ。」等など。 「お…まえ…ら…。」 フィンクスは天井をぼんやりと見ながら、仲間のしたことについて嘆いた。 あわれフィンクス、…合掌…。 |