ある夏の夜、ゴンとキルアとレオリオとは 近くの神社で開かれるお祭りに出かけることになった。 ちなみにクラピカは仕事でこれないとのことだ。 「ぅわーvv人いっぱいいるねー。」 「お祭りだからねー♪」 「何からやる?」 そう言い辺りを見回すゴン・・キルアの3人。 「おまえら目移りすんのはしょうがないけど、はぐれんじゃねーぞ。」 保護者はオレなんだと一応注意をするレオリオ。 しかしレオリオは浴衣姿の色っぽい女性を見つけては、 「そこのオネーチャン美人だねー。どぉ?オレと一緒にまわらない?」 とすぐさまあちらこちらでナンパをし始めた。 「はぐれそうなのはどっちだよ。」 キルアはあきれながら横目でレオリオを見た。 「あ、ふられた。」 そんなこんなで皆は出店の辺りをうろうろしていた。 ふとが輪投げ屋を見て嬉しそうに声を上げた。 「あれかわい〜♪」 そう言い指を差したのは小さなくまのぬいぐるみ。 男3人は女の子だなぁと思い、ほんのりとほほをそめ、表情をゆるませていた。 の仕草・声など全てが、男達にとってとても愛しいものなのだ。 そしてそれに男心を刺激されたのか、 「じゃあとってやるよ。」 「まかせとけ!オレは昔、輪投げのレオちゃんと呼ばれてたんだ。」 などと皆口々に輪投げをすることを決めた。 しかし、ゴンははるか遠くに輪を飛ばしてしまい、 キルアは羽根が生えたような軽やかな物腰にもかかわらず、 あと少しのところではずれてしまった。 そしてレオリオの番が来た。 「それっ。…よっしゃ!」 意外なことに輪は景品の方へ落ちていき、レオリオはある景品を手に入れた。 「どうだ、輪投げのレオちゃんの名は伊達じゃねーだろ。」 「うん、レオリオすごいねー。」 は素直に尊敬の念をこめて微笑んだ。 レオリオはその笑顔につられて思わず照れてしまった。 「でも、それくまじゃなくてたぬきだぜ。」 キルアはそんな少しいい雰囲気の2人を見つつ、つまらなさそうにそうつぶやいた。 レオリオが取った物。微妙にかわいくない小さなたぬきの置物。 あんまり欲しくない…。 最後に。 「そぉれっ!」 この、実に女の子らしく可愛らしい声と仕草を放った一投が、 とんでもないことになってしまうとは、このとき誰も予測できなかった。 「……………。」 「………………。」 輪はなぜか景品…いや店すら外し、右の方の遠くの木の方へすり抜けていった。 皆はそれを見て少し驚き、そのあと笑いをこらえるのに精一杯だった。 投げた本人は自分の思い切りの暴投により、しばらく恥ずかしそうにうつむいていた。 少ししては輪を取りに行くべく、 思い立ったように輪の飛んでいった方向へ走っていった。 男3人はただただそれを見守るしかなかった。 「あれはあれでかわいいんだけどなぁ…。」 走るを見ながらそうつぶやいたレオリオの一言は、 わびしくも祭りのにぎやかな音声にあっという間にかき消された。 一方、輪の元へ走る。 「なんであんなに外すんだろう…?」 は自分の暴投を悔いながら、照れくさそうに手で顔を覆った。 それから少し走ってやっと輪が落ちたと思われる場所についた。 そして輪を見つけようと身体をかがめ、地面をきょろきょろと見回した。 (どこ落ちたんだろ?) はいつくばりきょろきょろしている。 そんな姿も可愛らしいその少女を近くで見る者は今は誰もいないはず。 …いや、実は草の陰から怪しげな一つの視線があった。 もっともはそのときそれに気づいていないみたいだが。 やがてその視線はかすかな足音と声へと変わった。 「やぁv」 突然上から降ってきた声はまぎれもなくその視線のもの。 振り向くとそこにはヒソカがいた。 しかもが捜していたと思われる輪を持って。 「ヒソカ?来てたんだ…ってその輪!」 は最初ヒソカがいたことに少し驚いていたが、 そのあとヒソカの手元から輪を見つけさらに驚きは倍となった。 「うん、突然飛んできたんだv」(本当は大体のことは知っているけどv) 実はこの奇術師、ゴンとがお祭りに行くことを知り、こっそりと追けていたのだ。 それでも普通に話すこの男、ただ者ではない。 しかしはそんなことは露知らず、これまた普通にヒソカと話していた。 「それね、私が輪投げではずしちゃった輪なの…。」 と少ししゅぅんとした表情で話した。 その姿を見てキルア辺りなら「かわいいぜっ」と突然抱きしめただろう。 だが、ヒソカは策士だ。 「別にはずしてないよv」 「え?」 「この輪はボクのところに飛んできたんだv ならばそれはボクを手に入れようとしたも同然だろうv」 「ええっ!?」 突拍子もないことを言い出すヒソカ。 は違うと言いたかったがそのあまりの言葉に声が上手く出せなかった。 驚きで固まりかかっているを尻目にヒソカの言い分はこう続いた。 「でもボクは君に手に入れられるより、君を手に入れるほうが良いかなv」 そう言われてふと自分を見ると、 いつの間にやらは自らの腰に手を回され身動きが取れなくなっていた。 「ちょちょちょっ…待っ!」 うろたえながらじたばたするが、そんなことでヒソカがを離すわけがなかった。 ヒソカの顔が近づいていく…。 (きゃー―――――――――!!) は思わず目をつぶった。 …そのとき別の声が飛んできた。 「てめぇに何してるんだ!」 目をあけたとき見たものは殺気だったキルアとゴン。 一瞬にしてヒソカの視線が2人へとうつった。 「やぁ、ゴンvキルアv」 そのすきにはヒソカから離れた。 いや、ヒソカがわざと離すようにしたと言った方が正しいだろう。 そのあと2人は妙にのらりくらりとしたヒソカに怒ったが、 相手が悪すぎたか、なぜかヒソカも一緒にまわることになった。 (クックックッ…やっぱりみんな美味しそうだねぇ…v>) ヒソカの欲望はまだ眠らない…。 ちなみにその頃レオリオはまたナンパしてふられていた。 「ちきしょ〜!」 おわり |
えっと…輪投げの話には一部実話が入っております。
だからといって当然ヒソカはいなかったので笑われただけですみましたが。
実はこれ、去年書いて時期を待っていたものです。だから余計に文が恥ずかしいものに…。