キミのそばに<後編>


「ふぅ…。」
家の中へ入り、はやっとのことで一息ついた。
「今日も疲れた…。」
は先ほどまでの大変さについて嘆いた。
なら外に出なければよいのではないか。
かと言ってそれでは運動不足になるし、
なによりそのせいでヒソカに家を訪問されたりしたらたまらない。
イルミがの家を知っているのならば、当然ヒソカもこの家を知っている。
自分の家の中よりはまだ外のほうが…どちらにしろ嫌なものは嫌なのだが。
は本日何度目かのため息を吐いた。
「…早く寝よ。」

翌日。
「ヴ〜…。」
のどが痛い、気分が重い、頭がくらくらする…。
あ、何かヒソカに会ったときと似たような感じ。
って風邪…知恵熱か。
昨日あんなにもヒソカに悩まされたせいだ。
「ア゛〜、しんど。」
はゆっくりと起きあがった。
そしてまだ完全に開かない目で前をぼんやりと見た。
「とりあえず水分とって寝とこ。」
そうつぶやき、は飲み物を飲むために台所へと向かった。
台所までの道のりが、けだるさのせいで平常時より長く感じる。
少しして台所につき、目的である冷蔵庫を見つけた。
しかし、それと同時にいてはいけないものも見つけてしまった。

「やぁv」
「ヒソカ(とイルミ)…何でいるのさ…。」
台所にいたのはヒソカとイルミ。
ヒソカはコンロで何かを煮立てていて、イルミは座ったまま茶を飲んでいた。
は 気分が悪すぎるため、頭を押さえた。
考えていることのほとんどの言葉が出ない。
頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
「勝手に何やってんの…。ていうかそれとっておきのダージリン…。」
おぼっちゃんは安い茶は飲めないんですか?

そしてあまりかまいたくはないのだが、ヒソカ。
が目を向けたとき、ヒソカはに満面の笑顔で笑いかけた。
「もうすぐおかゆができるからねぇ〜vv」

ヒソカの手作りおかゆ!?いや、それより…。

「どうして私が病気って知ってるのよ?」
「それはキミの愛のオーラが元気がないと教えてくれたからさっ!」
頭痛い…。
は嫌な予感がしたが、とりあえずいすに座った。

茶を飲んで一息つく。
は茶のおかげで少し気持ちが和らいだ。
しかしそれは、不意に目の前に置かれたどんぶり茶碗によって
すぐさま終わりを告げた。
「はい、おかゆv」
……………食べたくない…。
見た目は悪くないのだが、なんせヒソカの作ったものだ。
何か入っていてもおかしくない。
しかし、ただでさえ力の差は歴然。
しかもここはの家、そしては病人。
状況が悪すぎて、良い選択肢がなかった。
「食べられないの?ならボクが口移しで…。」
「わかった。食べる。」
は勇気を出しておかゆを口に含んだ。

パク…モグモグ………。
「どう?」
「意外と…いける…。」
「それはよかったvv」
ヒソカはが食べている間、終始笑顔でを見ていた。
はいつもなら「顔近づけんな」と文句を言っているところだが、
病気であまり動きたくないのと、ヒソカのおかゆの意外な美味しさによって、
そのおかゆを静かに食べ続けていた。
なんだヒソカって意外と料理できるじゃん。
そう思った数分後、の意識は消えた。

スー、スー…。
「寝顔もかわいいねぇ…。」
ヒソカはをベッドに運び、その寝顔を見ていた。
邪気も敵意もないのが寝顔。
普段ヒソカには絶対見せられないもの。
「ククク…。」
ヒソカはの普段見られない顔を見て満足感でいっぱいだった。
前髪からまつげに触れると軽く反応する。
そんな仕草もかわいらしい。

「ねぇ、ヒソカ。このあとどうするの?」
横にいたイルミがを見つつ尋ねた。
「ん〜。このまま行き着くところまで行っちゃってもいいんだけど、
でもやめとこうかなv」
「何で?」
イルミは視線の先をヒソカに変えて、再び尋ねた。
ヒソカは満面の笑顔を浮かべた。
「フェアじゃないからvv」
「…珍しいね。」
「だって、本気だから…。」
ヒソカはまっすぐな瞳でを見つめた。
そしてそんな会話がされていたことなんて、眠っている本人には知るよしもない。

「じゃあ、とりあえずの首筋にキスマークつけて添い寝…v」
そしてヒソカはごそごそとの布団の中へ入っていった。
2人にとって、(が目覚めるまでの)少しの安息だった。
というか…本当に本気なのか?ヒソカよ。

(おわり)



あとがき〜愛(?)のトーク〜

ヒソカは本当に愛のオーラ?でさんが病気とわかったのでしょうか?

ヒソカ「うん、当然。」

決して盗聴とか盗撮じゃなく…?

ヒソカ「……………さぁね。」

ついでに言うとおかゆは?

イルミ「睡眠薬入り」

……………。



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