そのままで


!これ一緒に食おうぜ。」
「うん!」
キルアが抱え込んでいるのはたくさんのお菓子。
それをの前に下ろすと二人はらんらんと眼を輝かせた。

私はこのときが大好きだ。
キルアがお菓子を持ってきたとき、私はいつもうれしくなる。
お菓子が好きだからというのももちろんあるんだけれど。
幸せそうにお菓子を食べるキルア。
ものすごく明るい笑顔。
その場にいると、こちらも幸せな気分になる。
お菓子の美味しさだって何倍にも広がるんだ。
「ん、おいしーvv」

ある日、は久々にクラピカに会った。
久々ということで、お互い和やかな雰囲気で話は弾んだ。
しかし、しばらくと向き合ってたクラピカが
最後の方に、遠慮がちに切り出した一言で は固まった。
「その…前より丸くなったか?」
「…は?」

クラピカと別れて。
しばらくはもんもんとした気持ちでいたが、
そのままではらちが明かないので、意を決して体重計にのってみた。
すると……………。
「い、やあああぁ〜〜〜!!」
なんと、しっかりと体重が増えているではないか。
はショックと共に、自分の中で何かが崩れていくのを感じた。

最近の様子がおかしい。
ぼんやりしているときがいつにも増して多いし、
俺が遊びに誘っても、誘いには応じるが、
遊びの最中、少し動いただけですぐに足がふらついている。
確かに体力は俺のほうがはるかに上だけれども、
でも、よく思い出すと最初から元気がなかったように思う。
そして何より。


「お菓子、一緒に食おうぜ。」
「………いらない。」

これはおかしいだろう!
全くいらないなんて言うんだ。
あいつだって相当の甘い物好きのはずだぜ。
一体、どうしたんだ…?

一方。
うぅ〜…、何かふらふらする…。
おなかが…微妙な感じ。
あれから私は減量をすることを決心した。
とりあえず、食事量を減らすのが基本かな?
やり方が極端な気もしないわけではないんだけれど、
やっぱ、できるだけ食べないようにしたいって思うじゃない。
それにしても、おーなーかーすーいーたー。

やっぱり…おかしいよな…。
キルアは少し考えた後、やはりに尋ねてみようと思った。

私は草の上をのろのろと歩いていた。
そして地面を見ながら、ふと思った。
あ、タンポポだ…。きれい…。
…そういえばタンポポって食べられるんだっけ?
野菜みたいなものだろうから食べても良いよね…。
。」
うつろな意識でタンポポを見つめているとキルアの声が聞こえた。

はその声に反応して、頭を重たそうに動かした。
実にけだるげな様。
キルアはがこちらを振り向いたの確認すると、
の目をまっすぐ見て、口を動かした。
「お前さ…最近元気ないけど何でだ?」
は少し間を空けて答えた。
「…別に、何もないよ。」
「なわけねぇだろ。」
間髪入れずにキルアの声が返った。
はその後は無言だった。

「ほんとに…どうしたんだ?」
「何でもな―――」
声を張り上げようとした…はずだった。
そうしたらその瞬間、くらっときた。

地面に身体が引き寄せられる感覚をは感じた。

ドンッ

しかしその後、当たったのは地面の冷たく硬い感触ではなく、
わずかに温かかった。
「……………キルア。」
見上げたそこには不安な表情をありありと浮かべたキルアの顔。
の身体は地面へ落ちず、キルアの身体に支えられていた。
「なぁ、正直に話してくれ。」
キルアの腕の力がわずかに強まった。
はキルアの肩に顔を埋めてつぶやいた。
「だって…私、太ったでしょう?」
「な…。」
「だからダイエットしようとした…。」
「どこが太ってんだよ!それより俺、お前がフラフラなほうが心配…!」
するとキルアはの背中をなでた後、その両肩をつかんで少し離した。
「…やわらかい。」
「ひっ。」
が震えたのを見て、キルアは肩をつかむ力を強めた。
「違っ。俺はただ…」
赤面しつつ、顔をそらすキルア。
少しの間を空けて、キルアはを見つめなおした。
「そのままのお前のがすき…だぜ。」

キルアの言葉はの目を覚まさせるかのように、すぅっと入り込んだ。
「あ…うん。」
(って、俺…何言ってんだ。)
その後、はキルアの胸に倒れこみ、
しばらくそこに自分の顔を埋めていた。
おそらくその顔は赤らんでいるだろう。

(でも…)
それはキルアも然り。

(まさか気持ちよかったなんて言えねぇよなぁ…。)

その後、の極端な減量はぱたりとなくなったらしい。

また共に笑い合えるように、お菓子を食べることもより幸せに。
その方が二人にとっては良いんです。



---END---


あとがき

タンポポは生で食べられるのでしょうか?タンポポコーヒーなら試してみたいです。
それにしても、キルアは甘い物好きとしてもあこがれますね。体型がスリムv
ちなみにこんな減量法、真似してはいけませんよ。
一応30000ヒットリクエストより。キルアドリームでした。


戻る    最初に戻る