追う者と追われる者とetc


「今日こそはゆるさねぇ!」
俺のその言葉の直後、目の前にいたは無言で俺から逃げ出した。
俺はもちろんそいつを追うべく走り出した。

ふと、がクラピカの横を通り過ぎた。
俺もあいつを追うべく、同じようにクラピカの横を通り過ぎようとした。
しかしその瞬間、俺はクラピカに片手でしっかりと肩をつかまれた。
がしっ という音が聞こえた気がする。
「何をしている?」
「追ってんだよ。」
俺は不機嫌だったので、「文句あっか」というような目でクラピカを見た。
するとクラピカは少し考えるような仕草をした後、
なぜか不機嫌なオーラを出し始めていた。
「なるほど…。逃げ惑う女性を追いかけて、
捕まえて襲おうとしているということか。…なんて破廉恥な!」
「おい、何でそういう結論にたどり着くんだよ。」
俺はクラピカの考えがあまりにも変なので、
ただ単純につっこむことしかできなかった。

「俺はただあいつに頭と首と胸と腰を締められた挙句、
お気に入りのネクタイを引きちぎられたから、怒って追っかけてるだけだ。」
我ながら説明くさいセリフだったと思う。
しかしクラピカのほうはきちんと理解してくれたようだった。
「…すまない。」
「もしかしておまえ欲求不満か?」
「……………。」

ドスッ

「いてっ!」

クラピカに腹を殴られた後、
俺はすっかりを見失ってしまったことに気がついた。
「げ。」

今度はゴンを見つけた。
ゴンは何かを知っているようだったが、俺に教えてはくれなかった。
おそらくに口止めでもされているんだろう。
ゴンは素直な奴だから…な。
俺はそこがゴンのいいところなんだと自分に言い聞かせ
ゴンを問い詰めることをやめにした。

今度はキルアがドアの前にもたれかかっているのが見えた。
「おいキルア、の奴知らないか?」
「ん、あぁ。あっちに走っていったぜ。」
それを聞いて、俺はキルアが示した方向へ足を向けた。
しかし第一歩を踏み出したあと、俺は足を止めた。
第六感というのか、なんとなく違う予感がしたのだ。
そしてその予感に駆られてしまうと、キルアがあまりにもあっさりと
のいる方向を教えたのが気になった。
(キルアは俺よりの味方だからな…。)
そう考えると怪しいのはキルアがもたれかかっているドアの向こう側。
キルアなら裏の裏くらいはかけるだろう。
「こっちか。」
ドアの方に指をさした俺に対し、キルアは含みのある笑みを浮かべた。
俺はそんなキルアにかまわずにそのドアを開け、部屋の中に入った。

ドアが閉まった後、キルアはレオリオに聞こえないようにつぶやいた。
「あーあ、オッサンが間違えてくれたら、
と二人で仲良くやろうと思ってたんだけどなぁ…。」
キルアは誰もいなくなったところで黒い笑みを浮かべていた。

部屋の中にの姿は見えなかった。
しかし俺はなんとなくこの部屋にがいる気がした。
俺はその勘に従い、人の隠れられそうなところを探した。
「ベッドの下…は狭いか。なら…洋服ダンス!」
そう、俺は勢い良く洋服ダンスの戸をあけた。

バァン!

(いた…。)
「………はろー。」

案の定、は洋服ダンスの中にいた。
俺はを洋服ダンスから出そうとその腕をつかんだ。
幸せな表現の好きな奴なら、そのシーンは
『馬車から降りようとするお姫様とその手を引く従者のごとく』
と表現するかもしれない。
(あぁ、我ながらおかしいよ!でもこの前そんな映画を見たんだ!)
俺がその腕を軽く引いたのを合図に、は洋服ダンスから降りた。
しかしその後でも俺はの腕を離さなかった。
逃げるなよ、と。
しかしは特に目立った抵抗を見せなかった。

「で、何であんなことをした?」
俺は走り回って疲れていたので、まずを座らせてから話した。
は俺から気まずそうに目をそらしていた。
俺はそれに我慢がならなくて、
片手でのあごをつかみ、無理やりこちらに顔を向かせた。
は一瞬目を丸くしたがすぐに目を細めて文句を言った。
「痛い!」
俺はその女特有の甲高い声に少しだけひるんだが、
それでも手は緩めなかった。
(たまには強く。男だろ?)
「すまねぇな。でも答えてもらうぜ。
俺の頭と首と胸と腰を締めた挙句、ネクタイ引きちぎったわけをな!」
『答えてもらうぜ』の部分を強調して言ってみた。
はしばらく目を泳がせていたが、じきに渋々と答えた。
「う〜、レオリオのサイズが…知りたかったから…。
ネクタイは…その…ごめん。」
「サイズ?」
今度はの返事に間が空いた。
その間、は無理やりに自分のあごをつかむ俺の手をはずし、
再び視線をそらした。
こいつ………照れてるな。
そしてやはり渋々と答えたその言葉は、どうにも中途半端だった。
「おしゃれぶるならわかれ!」
言葉、おかしいぞ?

「わかった、わかった。」
俺はそんなが妙にほほえましくて、
腕をつかんでない方の手での頭をポン、ポンッって軽く叩いた。
実際のところ全くわかってないというわけではない。
異性のサイズを知りたいというのは…アレだろ?
好きな人間に身につけるものをプレゼントしたいってやつ。
そう思うとやっぱりうれしさが増してきて、
気を抜くと俺の顔が緩んでしまいそうだった。
しかし『今日こそはゆるさねぇ』と言った手前、
むざむざあいつを許すわけにもいかない。
それがなめられる要因となりかねねぇしな。
ということで結論。
「ならな。」
「ん?」
俺はの腕を引き、その身を寄せた。
そしての小さな身体を包み込むように抱きすくめた。
がどきっとしたのはほんのつかの間。

「おまえのサイズも測ってやる!」
ぎゅうぅ。
それは冗談半分、本気半分での仕返し。
「レオリオ!それだけは勘弁〜!」

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そんな密着して暴れるカップルを眺めて。

クラピカ「あれは何とかならないのか?」
キルア「どーだろ。あいつら、あぁ見えてバカップルだからな。」
クラピカ「……………(怒)。」
キルア「おもしれぇ…。」
果たしてキルアが面白いと言ったのは誰に対してか…?

♪おわり♪



あとがき 〜メイン以外の語り合い〜

キルア「…レオリオドリームだよな?が後半からしか出てないけど。」
最初のレオリオドリーム「ケンカするほど仲が良い」と似た感じでいってみました♪
さんはレオリオ視点だから見失ったらわからないんです。

クラピカ「ところで私からもリクエストをしてもいいか?」
何?内容によるけど、クラピカなら特別にやってもいいかなv
クラピカ「反省文5000字。」
無理。どうしてもというなら6文字で。「ごめんなさい。」

ということでねあさんのリクエスト「レオリオドリーム」完了です!


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