ここはオーサカ


ハンター×ハンターRというラジオ番組にて、
2003年秋期から放送終了まで行われていたコーナー
「どこにでも行くよ!ゴバンニとキルパネルラの旅!」を聞いて、
はゴンとキルアの二人に言った。

「二人ばっか色々旅行してずるい!」

その言葉が今回のゴン、キルア、の3人での旅行の発端である。
目的地はジャポンという国のオーサカという地域。
そこは、ジャポンの中でも活気溢れた商人気質のイメージがあり、
特徴としては、地元の人々はその地域独特の口調で話す。
関西弁と言われるものである。

「オーサカ、オーサカー。」
列車のアナウンスが目的地への到着を告げる。
3人は軽やかな足取りでオーサカの地へと降り立った。
「ここがオーサカかー。」
「なんか人がいっぱいいるね。」
すっかり観光客気分のゴンとキルアは、
ガイドブックを片手に談笑を交わす。
「ここって関西弁?ってのを話すんだよね?」
「あぁ、俺らもやってみるか?」

「なーんでやねーん!………」
「茶ぁしば、かん、かー………」

あまりにも不自然な発音に二人は
お互いに何も言わずともすぐに表情を沈ませた。
「ま、まぁ、しょうがないよね…。」
「そだな…。」
ちなみには、ちょうどそのとき周りを見ることに夢中になっていたため、
二人の不自然な関西弁は聞いていなかったものと思われる。

もそうだろ?」
先ほどのことについて、キルアはにも話をふる。
「関西弁って難しいねー。」
ゴンがさも当たり前といった様子で話しかける。
その声に反応したは やっと隣にいる二人の方を向いた。
しかし次の瞬間、少年二人の目は数秒ほど点になった。

「ん?何か言うた?」

「二人ともどないしたん?」
短い言葉の中でも伝わる独特のリズム。
(すごい…!)
これはまさしく関西弁。
の見事な発音にそう判断したゴンとキルアははっと息を呑んだ。

しかし、ここでふと疑問が湧く。
なぜは関西弁をうまく使えるのだろう。
先ほどの会話が止んでから、キルアはすぐに思った。
ゴンに話すと「スクールで習っていたとか?」と言ったが、
それは本人に尋ねるまでもなく違う気がする。
(わざわざ習うものじゃねーだろ。)
まぁ、特に追求するほどのことではないのだが。
「ねぇねぇ、あそこに大きなカニがいるよ!あっちにはふぐが!」
「あぁ、カ○ドーラ○のカニか。あれはヅボ○ヤやなー。
どっちも美味しいお食事どころやで。」
ゴンの無邪気な声に楽しそうに反応する
その違和感なく話す様子にキルアはわずかに眉をひそめた。

が他に見とれている隙に、ふと、キルアはゴンの袖を引いた。
「なぁなぁ。」
「何?キルア。」
って関西弁上手いな。」
「そうだね。何かこの地にお似合いって感じ。」
「だよなー。」
・・・・・・・・・・・・。
しばし会話が止まる。
それから二人ははっとした。

「つーことは、ここで関西弁を話せればとお似合い?」
「…おぉ!」

かくして二人は、ここにいる間にでも
何とか関西弁をマスターしようと心に決めた。

しかしそう簡単にはうまくいかない。
その場所の言葉というものはその文化から成り立ったものであり、
だいたいは、そこで生きる上で自然に身に付くものである。
ゆえに地元の人間でもない二人が、
すぐに関西弁を使いこなすのは至難の業。
周りの人間から言葉遣いを盗もうとしても、聞くだけならまだしも
それを遣うには、流れが速すぎてついていけない。
「はぁ。」
あまりの難易度に二人はほぼ同時にため息をついた。

はすごいね。」
「あぁ、そうだな。」
ため息を付いた後、顔を上げたときに二人は気づいた。
「あれ?」
いつの間にやらが自分達からかなり離れた位置にいることに。
しかも目を凝らしてみると、一人の男性に絡まれているようにもみえる。
二人ははっとすると急いで走り出した。

「ねーちゃん、ねーちゃん、ちょっと俺とつきあわへん?」
「…。」
「んな、いやそーな顔せんで。別にやましいことなんてなんもせんし。」
「…連れがいるんで。」
「連れー?って彼氏ぃ?いいやん、そんなの。今、君ほっとかれてるみたいやし。」
その言葉にむっとした
「嫌やっちゅーねん!うざいわ!」
その言葉に男は豹変した。
「なんや?やさしゅうでとればいい気になりおって。」
のえりをつかむ男。
二人にらみ合いになる。

それに割り言ったのはゴンの大きな声。
ー!」
「てかあいつ何してんだよ!?」
走るゴンとキルアにと男の視線がそちらへ行った。
男のすぐ近くに到着してから二人は言った。
正義の味方がやってきたときの一言を。
でも…ここでも関西弁を使おうという意思を忘れずに。

を離せ!………やねん?」
「そうだぜ………やん?」
その二人なりに関西弁を加えたらしい言葉に少しの間辺りが白けた。

しかしそのせいで頭に血が上った者もいた。
「なんやお前ら、変な言葉話しやがって!お前らから先にいてもーたろか!?」
男は拳を振り上げると二人の方へ向かっていった。
しかしハンターである二人に単なる一般人が敵うはずもなく、
その男はゴンの軽い攻撃にて遠くに吹っ飛ばされてしまった。

悪漢を退治した二人。
しかしそんな二人に対してのの第一声はこれだった。

「いや、めっちゃ不自然やし。」

関西弁にたんのうな者としてか、つっこみは欠かせないのかもしれない。
瞬時に固まる二人。
「まぁ、でも。」
表情がやわらかくなる
「ありがとう。」
そのふわりとした笑顔にゴン達二人の時は止まった――

「よし、おみやげに豚まん買って帰ろか。GoGoイチの…♪」
再び前を向く
その隣にはゴンとキルアがいる。
結局二人は関西弁をマスターできなかったけれども、
たとえ言葉は何であれ、十分良い感じだと思いませんか?


---END---


あとがき

ハンターで関西弁ヒロインを描きたかったというのがこの話の一番の目的です。
以前、ラジオで関西弁しか話せないという星がありましたので、
ならばオーサカに行かせてしまえと、書いてみました。
…思い切り実在する名前が出てきていますが、そこは見逃してくださいv



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