眠いんです


私の名前は。師匠の下で修行中。
師匠いわく押しかけ女房ってやつだそうだ。
しかし今は………だらだら中。

「おい。」
師匠の声が聞こえる。
しかし私は返事をしなかった。
というかだるくて何もしたくない。
それでも私は視線だけはその声に向けてやった。
すると今度は先ほどより大きな声で呼ばれた。
「おい!…きこえねぇのか!!」
今度はそれに答えてやった。
安眠の邪魔だから。

「私は「おい」さんじゃありません…。」
「理屈はいいんだ。それより、メシはどうした?」
「今日は作りたくない…。」
私は修行とその他の師匠の言いつけで、心身ともども疲れていた。
体中のけだるい感覚は身軽なはずの私の体を重くしている。
本当に、今日くらい家事を休ませてほしいと思う。

それでも師匠はあきらめない。私もあきらめない。
「わがままぬかすな。俺の弟子ならメシくらい作れ。」
「一日くらい食べなくても死なないよ…。」
「修行に支障をきたすだろうが。というか寝ころんだまま話すな。」
「じゃ、話さない…。」
私はそう言って、師匠に背を向けた。
「くぉら。」
師匠の文句なんて知るものか。


師匠サイド。
ったく…。こいつはどうしてそうなんだ。
精神の修行が足りねぇのか?体力がねぇのか?
一応修行を見る限りでは体力も精神力も問題ないと思うんだがな。

はぁ…これならクラピカのほうが良かったか?
あいつは全部まじめにやってくれたからなぁ。
でも、はあれですごくうまいメシを作る。
一緒に暮らすなら料理の上手い女だよなと痛感させてくれる。
んーーーー……、せっかくだから寝顔でも見てやるか。
ほぉ、なかなかかわ…うなされてねぇか?
オレがそう思うと、とたんの目が開いた。



「師匠邪魔。じろじろ見られると眠れない。」
「ならメシ作れ。」
「お休みー。」
あ、師匠がキレそうな顔をしている。
でも私はだるいんだ。
すると今度は、師匠は私の服をつかんで揺り起こそうとしていた。
「おきろ〜。」
「………………。」
このとき師匠はうつろ気な私に目をあわそうとした。
そして本日一番印象に残ったセリフをはいたのだった。


「そんな無防備にしてると襲うぞ、コラ。」


せめて、「君の作ったご飯が食べたいんだ。」くらいにしてほしい…。
…ごめん、セリフ似合わないや。
それでも私は微動だにせずに完全に目を閉じた。
すでに睡魔は私の隅々に絡み付いているのだ。
やれるもんならやってみろ。

ここからあんまり覚えていないんだけど。
師匠はその後とりあえずは私の服に手をかけたが、
しばらくそのままで静止していた。
そしてやがて手を離して、こちらに背を向けて離れた。
不精な青年に見えても、それなりの節度はあるらしい。
そのあたりは師匠の良いところだと思う。
つーか…もうダメ…寝る。

「しゃーねぇなぁ…今日だけだぞ。」
あいつの服に手をかけた後、俺は不覚にもカッとしてしまった。
自分の行動がバカみたいだと思ったんだ。
決してあいつの肌とか鎖骨のせいじゃない。
というかあいつ本当に何なんだ。
「襲うぞ」なんていったんだから少しは反応しやがれ。
あー、なんかなぁ…。
「なんか買ってくる。留守番しとけよ。」
俺はそう言って外に出た。
ついでに酒でも飲んでこようか…。


私はその後、完全に寝入った。
朝、目が冷めると横に師匠がいた。
私はふとその寝顔を覗き込んでみた。
…酒くさっ!飲んできたな…。

そういえば、おなかすいたな…。
なんせ一食抜きだ。
朝っぱらからおなかが鳴っていてもしょうがない。
「よーし、ご飯でも作りますか!」
私は立ち上がって、ご飯作りに向かった。
とりあえず師匠には酔い覚ましのメニューで。


---END---



あとがき

これ書いた日は夕方から夜まで3時間ほどねこけました。
母が「夜7時(夕ご飯食べなさい)」とか教えてくれるんですけれど、
何故か身体を起こす気が起きない。そこから思いつきました。

キャラはとにかく「襲うぞ、コラ。」の似合う人物(レオリオ以外)を。即興物です。


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