ハンター交流会


「ハンター287期生交流会のお知らせ」
こんなメールが送られた。
とあるひとときに激戦を繰り広げた人々。
最後までたどり着けたなら、
その人々はそれなりにお互いを知っているであろう。
ともすれば強いつながりを得ることもあるだろう。
そのつながりのおかげで、この交流会は開かれた。

舞台は会場へと移る。
ホテルの一スペースを貸し切ってのパーティ。
食事は立食形式で供され、動くも止まるも自由。
交流しやすいようにとのセッティングだろう。
グラスを持った男が、今回の幹事である男に話しかけた。
「よぉ。久しぶりだな、ハンゾー。」
「おぉ、レオリオ。久々だな。」
レオリオとハンゾー。
この会の幹事はハンゾーである。
忍にしては社交性豊かなこの男。
その社交性ゆえに会は開かれたのだろう。
そのようなことを頭の隅に置きつつ、
レオリオはこのときを楽しみにしていたことをハンゾーに告げた。
「そうか。それはよかった。」

「ところでよ、は来てるか?」
というのはハンター287期生唯一の女性。
試験時から、彼女に好意を抱いているものは多いらしい。
「あぁ、ちゃんね。」
その名を聞くと、ハンゾーはわずかに顔を下に向けた。
そのハンゾーの視線をたどると、その先にはいた。
「お。」
しかし次の瞬間レオリオの顔はゆがんだ。
「…あぁ。」
すぐにハンゾーが下を向いたわけを理解できたからだ。
「早速ヒソカに捕まってんじゃねーかよ…。」
のそばにいるヒソカ。
しかもその隣にはイルミもいる。
ぱっと見の様子としては、3人仲良くおしゃべりしているようにも見える。
それが不服なのは他の奴らだ。
「………。」
「なんとかならないもんかねぇ。」
うなだれた顔をしたまま、目をそらすレオリオ。
なんとなく視線を移動させると、ふと二人の少年が目に付いた。

ゴンとキルア。
どうやら二人は食事に夢中のようで、
テーブルの周りを移動しては食べて、また移動しては食べると
テーブルのほうをずっと向いていた(注:マナーがなっていません)。
レオリオは少し考えた後、二人に近づいて声をかけた。
「お前らよく食うな。」
「オッサン。」
「オッサン言うな。」
ゴンは食べ物が口に入った状態でレオリオをみつめている。
「何?」
「あぁ、お前らに頼みがあってな。」
レオリオは二人の視線を集めてから、小声で話した。
「あれを見てみろ。」
レオリオが指した先。
そこにいるのは、 ヒソカとイルミと…
いきさつはわからないが、の手がイルミの髪に触れている。
しかもわずかに笑みを浮かべながら…。
「………。」
「わかるか。」
「あぁ。」
キルアはわずかに眉をひそめていた。
「お前ら、食事をすすめるとかとにかく何でもいいから
をあいつらから引き離してこい。」
レオリオはそういうと軽く二人の背を押した。
しかしキルアは戸惑った。
「はぁ?」
キルアの声には「何で俺がやらなきゃならないんだよ」
という念がしっかりと含まれている。
それを読み取ったレオリオは、今度は視線をゴンの方に集中させた。
「良いか、ゴン。男ならどんな障害があろうと立ち向かっていくもんだぜ。
…お前もと一緒にいたいだろ?」
キルアは横からあきれた顔でそれを見た。
(オッサン…ようは自分が怖いから、俺たちに行かせようってことだろ?)
けれど、ゴンは純粋だ。
「わかった。俺がんばるよ!」
ゴンが返事をしてから少し間が空けて、
キルアもそれに渋々と了承した。
(あまり関わりたくねーけど…ちょっとむかつくし。)

レオリオはもう一度に視線を移した。
…今度はヒソカに肩を回されていた。
「アレはセクハラだろ!?」
思わず息巻くレオリオ。
しかしレオリオはそれでもそこに近づこうとはしなかった。
キルアの回答は正解のようだ。

ー。」
真正面から立ち向かうは少年二人。
対するは…。
「やぁ、ゴンv」
「キル。」
妙に威圧感を発するヒソカとイルミ。
それにゴンとキルアは思わず身じろいでしまう。
緊迫感あふれる様。
だけれども行かねばならない。
それはまるで、姫を助けに行く勇者のように彼女を想い、
少年二人は決意を胸に前を見据えた。

だが、少年二人が気付くことはなく、
はいつのまにかヒソカ達と離れて、談笑を交わしていた。
あの緊迫感の中、彼女を連れ出した人物がいる。
肩を叩かれ、振り向いたそのとき、
彼女は花が咲くような笑顔を見せた。
「クラピカ。」

「あ〜、なんだこれ。」
レオリオはあきれ半分・むかつき半分という気持ちでつぶやいた。
と談笑を交わすクラピカ。
今の今までいなかった気がする彼。
確か遅刻すると言っていたのを思い出す。
そこから視線をさらに奥にやると、ヒソカ達とゴン達が見える。
ヒソカは気持ちが悪いほどの笑顔を浮かべているが、
対照的にゴンとキルアの顔は引きつっている。
逃げられないというところだろうか。
(まさに漁夫の利、だな。クラピカ…。)

一つため息を吐いて、
レオリオはとび蹴りをくらわしたい気持ちを抱えつつ、
クラピカのほうに向かった。
まぁ、実際は軽く頭を叩くくらいしかしなかったが。
「てめぇ、何遅れてきたくせにいい顔してんだよ。」
クラピカは笑んだ。
「ふ。その昔、剣豪ミヤモトムサシは遅れて来ることにより、
事を有利に進めたと言うからな。」
「そういう問題か。」
もう一度ペシッとクラピカの額を叩く。
その様子には明るい笑みを見せた。
それにつられ、おのずとクラピカとレオリオの表情もやわらいだ。

「そう…だな。」
クラピカが話し出したのだが、言葉に脈絡がなかったために
はきょとんとした表情をした。
「遅れてきたことはすまないな。」
柔らかな表情で話すクラピカは、ふとの両の手を自らのそれで包み込んだ。
ぎょっとするレオリオ。
は黙ってその両の手を見つめている。
顔を上げると、クラピカの顔が間近にあった。
「だから、今度二人でゆっくりと話せる機会を設けよう。」
甘い声がの中に響く。

しかし二人の雰囲気はその5秒後にかくも崩された。
『ク〜ラ〜ピ〜カ〜』
やっと逃げ出してきた(むしろ解放された)少年二人によって。
「駄目だからね。独り占めは!」
「そうだぜ。てか俺達放置プレイか!?ひでえよ!」
「わりぃなー。」
とはいうが、レオリオに助ける気はさらさらなかったはずだ。
少年二人が加わることにより、にぎやかさはぐんと増す。
仲良し5人組。

そんな中、そっと目配せする二人。
合わさる視線が合図のように微笑みあう。
「また会おう」と交わされた約束。
その想いはきっと成就されるのであろう。


---END---



あとがき

ヒカル様のリクエスト「逆ハーでクラピカ勝ち」です。
ぬるくてすみません。クラピカの出番が少なくてごめんなさい。
こんなものでもお読みいただければ幸いです。
リクエスト、ありがとうございました。



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