着せ替え騒動記


とある一室。ゴン、キルア、クラピカ、レオリオの4人は
二つの大きな袋を囲みながら、それを見つめていた。
「レオリオ…これは何だ?」
クラピカがややしかめた顔で言った。
レオリオは罰の悪そうな顔をしながら話した。
「それがな…色々詰め合わせでたったの3000Jっていうから、
お得なものだと思ったんだ。福袋ってあるだろ?だから…。」
クラピカは今度はキルアの方を見た。
それを合図にキルアは声を出した。
「これはブタ君が勝手に送ってきたんだよ。なんかダブりだからって…。」
視線の先にあるのは二つの大きな袋、中身は…女物の服である。
しかも女物の服といっても、それはとても普通の服とは言いがたい。
ピンクを基調としたレースがたくさんの服、黒を基調とした妖しげ人形が着るような服
…いわゆるゴシックロリータ、赤色が基調のメイド服など。
女性でも結構な人数は躊躇するだろうその服(共通点はフリフリレース)。
それを目の前にして、4人は複雑な気持ちを抱えていた。
「これどうするよ…。」

困っていたのは正確には3人だった。
ゴンがこの状態に対して「かわいい服がある」くらいしか思わなかったから。
キルア、クラピカ、レオリオの3人が困った顔をして考えていると
今まで不思議そうにしていたゴンが口を挟んだ。
「ねぇ、これ女の子の服でしょ?」
「そうだが…まさかゴンがき」
すんでのところでクラピカはその続きをとめた。
ヒソカなら気持ち悪いほどの笑顔で言っていたかもしれないが。
ゴンは男の子だ。我慢して着れるものでもないだろう。
それはともかく。
ゴンは何の疑問もなくあっさりと続きを言った。
「なら、に着てもらえばいいんじゃない?」
ゴンにとっては当然の一言のつもりだった。
しかし3人の表情は先ほどより複雑な表情になっていた。

その瞬間、扉を開く音が聞こえた。
「みんなー何やってるの?」
♪」
ゴンは嬉々とした表情でを見た。
それと対照的なのは気まずそうな表情でを見つめるゴン以外の3人。
はそのことを不思議に思った。
「みんなどうしたの?」
しかしそのことに答えるものはいなかった。
とりあえずは一番平静だと思われるゴンのほうを見た。
ゴンは袋を抱えたまま、にっこりと笑っていた。
そしてその笑顔で剣を刺した…かのようにには感じられた。
、これ着て!」
そのときのの視界にはしっかりとフリフリレースが入っていた…。

「いや、これはちょっと…。」
服を袋から出して、そして並べてからはつぶやいた。
「いいじゃん、着てよ!」
ゴンの言葉には邪気がない。
だからにとっては余計に断りづらい。
「いやでも…。」
は服を目の前に複雑な顔をしていた。

少しして3人はが部屋に入ってきてからのフリーズがやっと解けた。
3人とも一応今の状況は把握していた。
ここでやるべきことは唯一つ…。
「お願いだ、着てくれ。」
「絶対似合うって。」
「ここで捨てるのももったいねーだろ。」
ここまできたならを押し捲ってしまえという結論に達した。
はしばらく粘っていたが、やはり4対1、敵うはずもなかった。

-十分後-
「ォ、おぉー!」
フリフリレースの服をまとったが出てきたとたん、
いっせいに感嘆の声が上がった。
赤いメイド服。胸の部分は中心は赤で
その周りの白いレースが赤い大きなイチゴを持ち上げているよう。
そこに熱心に視線を注ぐのはレオリオとキルア。
そしてやはり赤に白いレースのミニスカートから伸びる白い足、
そこに視線を注いでは目をそらすの繰り返しはクラピカ。
ただ、ゴンだけはその全体図を見ていた。
、かわいいね!」
「そ、そうかな…。」
は照れくさそうな顔をして小声でそう言った。

「一応…黒のも着てくる。」
はそう言って部屋の外へと出た。
そして沸きあがる男たち。
「つーかあれ何!マジかわいーんだけど!」
「だな。あんなんで「ご主人様v」とか言われたらマジもえんぜ!」
「二人とも落ち着け。」
「何だよ。そういうこといってクラピカも顔真っ赤じゃねーかよ〜。」
「わっ私は…。」
レオリオとキルアは何かとても大好きなものを見つけたときのように
目をきらきら、いや、ぎらぎらと輝かせていた。
クラピカはほほを染めながらも、それを悟られるのを拒むがごとく、
手で鼻と口を覆い、下のほうを向いていた。
「みんななんか変…。」
そんなゴンのつぶやきは誰にも届くことはなかった。

再びが部屋に入ってきた。
…今度は黒い衣装をまとって。
「うわぁー!!なぁ、それで回って!」
思わずキルアが反応した。
「こう…?」
そう言いはくるりと回って見せた。
スカートがふわりとゆれる様は、さらに男たちの心を揺り動かした。
「グーよ!ベリィグー!!」
なぜか親指を立てているのはレオリオ。
「う………。」
クラピカは今度は足元から覗くガーターベルトに見とれていた。

皆様、大変顔が紅潮していらっしゃいますが、
くれぐれも鼻血を噴出されないようお気をつけください。

「なぁ、壁に寄りかかって片足すすっと上げて流し目してくれ!」
妙に狙ったリクエストをしたのはレオリオだった。
「…。」
は押し黙りつつもそのとおりにして見せた。
さては…結構のってますね?
「うおぉー!!」
「色っぽ…。」
クラピカはすでに倒れそうになっていた。
「クラピカ大丈夫?」
やっぱり普通なのはゴンだけだった。

ふとキルアは何か思い立ったように立ち上がった。
口元がニヤリとつりあがっている。
「あーもう、さらう!」
そういうとキルアはを抱きかかえ部屋の外へと走っていった。
「くぉら、キルア!」
レオリオは即座に立ち上がってキルアを追いかけようとした。
はキルアの腕の中で
短い悲鳴と文句を何度も上げながら手足をじたばたさせていた。

「あー!クラピカ、血!!」
見れば、クラピカは血を流しながらうずくまっていた。
それを心配してゴンはのことは置いてクラピカのそばによった。
うずくまっているのでクラピカの顔はよく見えないが、
おそらくこの血の出所は…鼻から。
「クラピカ、のパンツが見えたからって鼻血だしちゃダメだよ!」
どうやらキルアが抱きかかえたときにそれが見えてしまったようである。
「ゴ、ゴン!!」
堂々と言うことではないセリフにクラピカは衝動的に顔を上げかけた。
(ハッ)
しかしまた即座に頭を下げたためにクラピカは床に頭を打ち付けてしまった。
ゴン!(=フリークスにあらず)
「クラピカ!」

「ゴンのバカー!っていうかキルアはなせー!」
どうやらの叫びは、このてんやわんやな事態にかき消されてしまったようである。

---強制終了---


あとがき

メイド服は一応「花右京メイド隊」のいちごの衣装のイメージです。
「花右京メイド隊」は甲斐田さんが主人公役なので見ていました。

2位:逆ハーレム。ちなみにレオリオはあのテンションはきついです…。
旅団逆ハー…うーむ。

◆「花右京メイド隊」をご覧になりたいと思われた方へ◆
ホームページをご覧になるくらいなら大丈夫だとは思いますが、
アニメ自体をご覧になる場合はご注意ください。
これ、深夜アニメだったんですよ…。つまり少しそういうシーンがあるのです。


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