「さぁ、今年も始まりました。大食い大会in Hunter's school! 司会は私、=でお送りいたします!!」 にぎやかな会場に飛び出る、さらににぎやかな一声。 ただ今行われているのは文化祭のイベントの一つ。 文化祭、正式名称は「Hunter's school festival 文化の部」 今年の文化祭実行委員長は=。 彼女は楽しいことが大好きで、 やるからにはとことん楽しみたいという、お祭り大好きな性格を持っている。 だから、この文化祭のために実行委員の仕事をかってでたのだ。 「以上で大食い大会は終了させていただきます!皆様、ありがとうございました!!」 そう言うと同時に拍手と歓声が上がった。 はステージから退場して一息つこうとした。 しかし休むまもなくすぐに一人の学生がの方へかけてきた。 その学生はすまなそうに手を合わせてに頼みごとをしていた。 そうしてはせかせかと次の仕事へと向かった。 文化祭実行委員長といっても実際は文化祭の期間の何でも屋みたいなものだ。 このようには文化祭準備期間からちょくちょく呼ばれては 仕事の指揮をしたり、仕事を手伝ったりしていた。 掛け持ちしている仕事は生徒中誰よりも多いであろう。 「あいつ大変そうだな〜。」 「そうだね。…オレらも手伝おうか♪」 「え〜。」 そんなを眺めながら話していたのはキルアとゴン。 キルアは何かの景品らしいお菓子をたくさん抱えている。 「それよりコレ(お菓子)あっちで食おーぜ♪」 「うん!そんなに持ってちゃ手伝えないもんね!」 ゴンはすごく笑顔だった。 どうやら手伝う気マンマンのようである。 しかし、キルアにそんな気はサラサラない。 キルアはゴンの肩を一つ叩くと、そのままゴンから離れようとした。 「ま…がんばれよ。」 そのとき太陽の光が射し込み、ゴンにはキルアがまぶしくみえた。 キルアはにぃっと笑っていた。 その、あまりの明るさにゴンは少し目がくらんだ。 「?」 ゴンはキルアが突然離れていったので少し呆けていた。 しかし、すぐにゴンはその理由を解釈はできた。 (もっと楽しみたいだろうしね。) ゴンは心の中でとりあえずそうひと段落をつけた。 そしてを手伝うべく先ほどその彼女がいた方向を眺めた。 しかしそこにの姿はあらず。 (あれ…?) さらにあたりを見回してみたが、それでももそれらしき人物はいない。 (どこにいったんだろう…?) ゴンは少し困惑した。 しかし、すでにゴンは、を手伝うと決めていたので、 ゴンは彼女を探すべくあちらこちらへ足を動かした。 3時間後、ゴンはまだを捕まえることは出来なかった。 なんせは移動が激しい。 のいるところを訊いてその場所へ行っても、 たいていは、すでに別の場所へ行ってここにはいない。 また、見つけたとしても司会業などでに話し掛けられない状態ばかり。 そしてそれが終わった後に話し掛けようと試みても、 気がつけばまたはその場所から消えているのだ。 「………。」 こめかみの辺りから頬へと一筋の汗が流れ、思わずそれをぬぐおうと顔をこする。 雑音のように聞こえる音声はゴンの耳には意識するほど感じなかった。 代わりに感じるのはを手伝えない自分のふがいなさによる苛立ち。 文化祭は終わりへと近づいていた。 ゴンはさんざん走り回った。けれどもと接触することは出来なかった。 体力的には数時間走り回っても平気なはずのゴン。 だが精神的な苦痛が大きかった。 がいない。オレが見つけられない。 それだけのことで無性に悲しさとやるせなさがこみあげる。 どうすればいい?…どうすれば見つかる? ゴンは心の中で泣きたくなるほど今の状態が嫌だった。 「ー!!」 思わずまた叫んでしまった。しかし、それでもはいな…いや、いた。 向こうの方をトボトボと歩いている人物、あれは間違いなくゴンの探していた人物。 即座にゴンの心の涙がひっこんだ。 「!!」 ゴンは急いでのそばへかけこんだ。 「いやぁ…ゴン…。」 久々(といっても数時間後)に会ったは誰から見てもひどいものだった。 力のない声、うつろな眼、足取りは重く、どう見ても疲労困憊な状態…。 「大丈夫?」 ゴンは心配そうな目をしながらそう尋ねた。 「ダイジョ〜ブ…、ダイジョ〜ブ…」 つぶやくような返事に渇いた笑い。 ゴンにはどう考えてもが大丈夫とは思えなかった。 「もう休みなよ。あとはオレがやっておくから。」 ゴンはの両肩をつかんで真剣な目で訴えた。 普通の女子ならここで胸がとくんと高鳴り、思わずハイと言ってしまうかもしれない。 しかしには、疲れていながらも最後まで仕事を全うしたいと言う意地があった。 「サンキュ〜。…でもい〜や。ゴン、ダンス大会の司会とか向かないでしょ。」 「でも!」 ゴンはここで引くつもりはなかった。 ここで負けたら男がすたる!というわけでないが、自分として許せないものがあったからだ。 しかしも引く気はなかった。 「ダイジョーブだって…ダイジョブ…。」 は、自分を無理やりにでも持たせるためか、うわごとのように大丈夫とつぶやき続けた。 ゴンはどうすればを休ませることが出来るかを考えた。 彼女は文化祭を楽しみにしていた。精一杯がんばると言っていた。 (難しいや…。) そう悩んでいると突然が自分の胸になだれこんできた。 「!!」 ゴンはしっかりと彼女を受け止め抱え込んだ。 見ると、は眠っているようだった。 ゴンは腕に少しだけ力をこめた。 それはまるで大切なものを守るかのよう…。 ゴンの腕の中で眠る少女はどことなく幸せそうな顔をしていた。 が目覚めたのは文化祭終了後、保健室の中でのこと。 「ん…ぁ…。」 目が開いて、ぼんやりとした瞳で前を見るがピントが合わない。 は目をこすったあと辺りを見回した。 ―――すぐ近くにゴンがいた――― ゴンはもともと大きな目をさらに大きく開いてこちらを見ていた。 ずっとここにいたのだろうか…。 「ゴン…。」 ゴンはの声を聞いて、やっとを見つめるのをやめた。 「良かった…。」 言葉の少なさは豊かな表情で補うゴン。 やはり最高の笑顔だった。 「…ありがと……。」 はゴンがずっと看ていてくれたことについて感謝と申し訳なさを感じた。 その頃、外では今後夜祭の真っ最中。 校庭ではたくさんのペアがゆるやかな音楽に合わせてフォークダンスを踊っていた。 学校中に流れるその音楽はおのずと2人の心もゆるやかにしてくれた。 2人とも柔らかな表情をしている。 「文化祭、終わっちゃったね…。」 「うん…。」 「あーあ。」 は上を見上げたまま、嘆くように言った。 そして、少しするとは目を軽く覆うように片手を置いた。 白い天井と蛍光灯の白い光、なんとなく目を背けたかった。 「後夜祭のダンス踊りたかったかも…。」 彼女にとっての今の小さな願い…それは本日最後の楽しみ。 それが叶えられないと思いは少し悲しくなった。 はゴンの方を見る気になれなかった。 指の間から光が漏れる。 せつないね。 そう思い、もう一度目をつぶろうとした。 「じゃあさ、オレで良かったら踊ろうよ!」 その声に視線を向けると、ゴンの差し出された手が見えた。 「オレ、あんまりうまくないけど。」 わずかに照れるゴン。 は顔に置いていた手をどけて、ゴンのほうを向いた。 ゴンはそのままに笑顔を向けている。 じんわりと嬉しさが溢れ出してくるのを感じた。 「サンキュッvv」 はゴンに一度抱きついた後、自らの手をゴンの手に重ねてベッドから降り立った。 「よろしくお願いします♪」 手を取り合って踊る二人は、たとえ踊りがぎこちなくても最高のカップル。 いい思い出ができたね! ----- fin ----- |
実際の文化祭といくらか違うかもしれませんがお気になさらないで下さい。
レオリオ:ていうかオレがダンス大会の司会やったんだぞ。オマエらオレに感謝せずヨロシク(古)しやがって。
キルア:よく言うよ、ノリノリだったくせに。まぁそれでダンスに乱入してすっ転んでたがな。ハハッ。
レオリオ:キルア…(怒) とにかく看病ならオレの領分なんだよ!俺にやらせろっての!
キルア:レオリオじゃあぶねぇもんなぁ。
レオリオ:オマエの方があぶねぇだろうが。
クラピカ:お前ら…に失礼だぞ。…すまないな、うるさくて。
こいつらなんか放っておいてよかったらあちらで紅茶でも飲もう。ケーキもあるぞ。(そう言いの手を引く)
キルア&レオリオ:クラピカッ!!