私には、可愛い可愛い弟がいる。 黒髪がサラサラで、肌は雪のように真っ白。 日本人形の様な、とっても綺麗な男の子。 「カルト君、なにやってるの?」 「…折り紙…」 ふいに話しかけて、ちょっと驚いたのだろうか。 頬が上気して、紅く染まっている。 「えっと…、これ、鶴だよね?すごいなぁ、あたし鶴なんて折れないもん!」 「え?」 いままで可愛い弟の前では立派な姉を演じていたが、 実ははかなりの不器用なのである。 以前ミルキと一緒に爆弾を作っていたときも、 あまりの出来の悪さにあきれられてしまったほどだ。 「どうやって折ればいいの?」 手元にあった黄色の折り紙を手に取ると、 説明が書いてある本を見ながら折ってみる。 ………どうやらその時点で間違っているようだ。 「姉様、そこは三角に折らないと…」 「ぇえ!?ちょ、ちょっと違う折り方したかったの!あははッ」 否、絶対に違う。 そう思いながらも決してロには出さないカルト。 「じゃあ、一緒に折ってみませんか?」 「う、うん!」 そっちの方が助かる、と言わんばかりにうなずく。 カルトに教えて貰いながら、大分折れるようになっていた。 そして途中では助けを求めた。 「カルトくぅん、折れないよぉ」 そういうとカルトは手を出し、手伝おうとした。 「あっ」 不意に手と手が触れ合ったのだ。 姉弟なのでこんなことはにとって何ともない事だったが、 カルトは真っ赤になって手をとめる。 「どうしたの?静電気?」 見当外れな事を言っている姉に、今の自分はどう見えているのだろう。 うつむいて表情を見られないようにしているカルトに、は…。 「ふふっ。カルト君はやっぱり、可愛いね」 などと言うのだ。 (可愛い…?) 「キルに、『キルは可愛いね!』って言うと怒るし、 ミルキに『丸くてボールみたいで可愛いね』って言うと怒るんだよ」 前者のはともかく、後者は怒って当たり前だろう。 カルトはさっきの『可愛い』と言う言葉を思い出して、真っ赤になっていた。 「あ、そうだ。今日はカルト君に迷惑かけちゃったね。なにか欲しいモノは無い?」 律儀なの言葉に、カルトは閃いた。 「じゃぁ」 そういって顔と顔が近づくと、一瞬唇が触れた。 「………」 さっきまで顔を紅くしていた子がする事とは思えない、と、 顔をおさえるをよそに、カルトは鶴を折っていた。 おわり |